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  • 振り返らない自分

    高速の男は走り続ける。

    そのスピードに、誰も追いつけない。

    仲間たちは、とうに置き去りにされていた。

    だがある日、

    自分と同じ速さで走る存在を思い出す。

    誰だ。

    そう思い、追いかける。

    前を走る男は振り向き、

    来るなとでも言うように手を伸ばす。

    それでも男は止まらない。

    距離が縮まる。

    そして――追い抜いた。

    その瞬間、

    自分の体がボロボロなことに気づく。

    限界は、とうに越えていた。

    振り返る。

    そこにいたのは、

    壊れた自分だった。

    男は恐怖し、逃げ出す。

    走る。

    ただ、走り続ける。

    すると――

    背後から、

    猛烈なスピードで迫ってくる存在を感じる。

    振り返る。

    そこにいたのは、

    傷一つない、かつての自分だった。

    男は理解する。

    あの時、

    手を伸ばしていた男の気持ちを。

    必死に手を伸ばす。

    来るな。

    そう叫ぶように。

    だが、止まらない。

    距離は、確実に縮まっていく。

    仲間たちは、誰も追いつけない。

    ――いや、違う。

    もう、誰も追っていない。

    それでも男は走り続ける。

    すでに体は壊れ、

    もう一歩も動けないはずなのに。

    ただ頭の中だけで、

    永遠に。

    走り続けていた。

    音声入力をチャッピーに整理してもらっています