少女は病室でテレビを見ていた。
映っているのは、全力でプレーする一人の野球選手。
まるで自分のことを知っているかのような言葉に、
少女は苛立ちを覚えていた。どうせ同情だと、そう思っていた。
だが解説の一言で、空気が変わる。
その選手も同じ病を持ち、かつてこの病院にいたという。
看護師が静かに語る。
彼女もまた歩けず苦しみ、自分を傷つけるほど追い詰められていたこと。
だがある野球選手との出会いで変わった。
子供たち全員の手術費を肩代わりすると約束した存在だった。
彼女はその姿に憧れ、手術を決意する。
夢の代わりに、痛みを引き受けて。
手術は成功したが、代償は大きかった。
全身に走る激痛、食べることも眠ることも難しい日々。
それでも彼女はリハビリを続け、
命の危険を抱えながら野球の道を選んだ。
そして今、その彼女が試合に出ている。
だが試合中、彼女は限界を迎え倒れる。
血を吐き、腕のしびれに耐えきれず交代となる。
球場が静まる中、彼女はベンチへ下がる。
――はずだった。
次の打席、その名前が呼ばれる。
誰もが驚く中、彼女は再び打席に立つ。
相手ピッチャーは気づいていた。
もう限界だと。それでも正面から終わらせようとする。
インコース。最も痛む場所へ。
だがその球を、彼女は振り抜く。
打球は空へ伸びる。
ホームラン。
彼女は痛みを抱えながら走る。
一歩、また一歩と、倒れそうな体で進む。
そしてホームを踏む。
その一打は、勝利のためではなく、約束のためだった。
少女はそれを見て涙を流す。
確かに守られたものがあった。
だが現実は残る。
医療費、制度、終わる治療。病室を出なければならない。
母親との生活も限界に近づいていた。
その時、扉が開く。
有名な医者が現れ、手術を担当すると告げる。
資金はすでに匿名の人物から提供されていた。
選ぶのは君だと、手を差し出す。
少女は震えながら、その手を掴む。
手術を受けたいと、はっきりと答える。
母親は誰が資金を出したのか尋ねる。
だが医者は、それを明かすことはなかった。
一方で球団のオーナーは笑っていた。
この出来事が利益になると、酒を飲みながら語る。
善意すらも利用される世界が、そこにあった。
そして時が流れる。
彼女は少女のことを気にしながらも、
会いに行くことはなかった。
ただ、試合に立ち続ける。
スタンドには一人の少女が立っていた。
もう車椅子ではない。自分の足で。
彼女を見つめながら――
その身にまとっているのは、
相手チームのユニフォームだった。
音声入力をチャッピーに整理してもらっています